上手く眠れないのならなにかほかのことを/ホロウ・シカエルボク
る音を聞きながら
そうすることでしか報われない魂を鎮めるすべを知らない
最後のページを読み終えてしまったら
なにもしないで汚れたフロアーを見つめているだけなのだ
ランドリーから二〇〇メートル歩いたところにある
レトロなゲームセンターのなかには
毎晩のようにアウトランの記録を更新しようと
小鼻を膨らませている女が居る
彼女はどこかの高校の英語教師で
年頃だが独身で相手も居ない
仕事以外はなにもかもが面倒臭くて
そこに居るときだけは無邪気に遊ぶことが出来る
ちなみに
そのゲームのハイスコアに刻まれた名前は
アリスのダンサーみたいななりのあの女さ
ストアの店主はいつ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)