少女と森/あおい満月
たは死にたいの?」少女が言う。
「この森をこんなに明るくしてくれたのに、あなた、死にたいの?」私は答えに困った。首を立てにも横にも振れない。
すると少女は近づいて、私の口に何かを入れた。
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それは不思議な飴玉だった。酸っぱいような、甘いような、嘗めはじめるところころと味が変わる。心臓が疼いた。動脈瘤がものすごい勢いで流れるのを感じる。頭のなかに音を感じて、私は、生きていたくて仕方がなくなる。走り出したい気分に駈られたとき、少女はあることを口にした。
「実はね、この森はかつて死者の森だったの」
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どのくらいたっただろうか。少女が真実を話終わるまで。かつてこの森
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