あらゆることが語り尽くされたあとに/ホロウ・シカエルボク
いころに
まくらもとで
ははおやが歌った
子守歌を思い出すと
わけもなくおそろしくなる
上手く眠れなかったこどもらはどこへ行ったのかと
そんなことばかりが気にかかる
いつからかもの思いのなかでころころと転がるのは
おもてに出せなかった感情の数々だろうか
それとも想像のなかで果てしなく殺した
いく人かの苔むした頭蓋骨だろうか
奇妙なほどからからに乾いたその音は
どんな結末を望んで鳴っているのだろうか
平衡感覚が狂いそうな
傾いだ屋上のふちに腰をおろして
手足の爪を切る
身を削ぐような
十一月に腹をたてながら
月は冷凍庫のなかの肉のように色を失くして
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