赤/ただのみきや
 
雪を被ってすっかり閉ざされた
 枝の間 
小鳥は空を 
  ひと跳ね 
 ふた跳ね
すっ と吸われるように消える
とりあえず
生あるものは辺りから姿を消した訳だ
空を埋め尽くしていたあの雲が
今はこうして 冷たい真綿の布団
大地はうつらうつら 眠っている
ほとんど寝息を立てない女のよう


そんな景色を思い起こしては
 安物のウヰスキーを
  細く ゆっくり 流し込んで 
  鼻腔 のど 食道――胃への道すがら 
 灼熱感を堪能し
掛け軸のように眺めてばかり
――少々飽きて来た
    生も死もない四季との戯れに


もしも そこに
一匹のテンかイ
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