赤/ただのみきや
かイタチが
今しがた囀っていた小鳥を咥え
小さくても獣らしい
その口もとを血で濡らし
雪の畝に素早く
手品みたいに消えたなら
ああ血 その甘い
甘い一点の ふるえる疼きが
白い茫漠に消えない残像となって
心を幾つも捨て石に
追いかけもするだろう
己が半身を求めるように
口紅よりも
薔薇よりも
今は血の赤
いのちの赤
傷口の赤
痛みの赤
生と死の間に流れる赤
有無を言わせぬ
原始の赤
マグマのように熱を帯びた
分かち与え
貪り奪う
善し悪しに
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