11月18日秋葉原で/ただのみきや
 
て偉大な族長がエンパイアステートビルでしたように
激しいドラミング・ソロでシャウトしながら
人間の人間による人間のための馬鹿げた文明のアンチテーゼとして
転落することを予感しながら尚 清々しくさえあった
《――あとはこの目の前の男が拳銃を発射すれば
わたしは美しく螺旋を描きながら落下して
大地との衝突で肉体という牢獄を壊し
魂は自由の翼を得て故郷ツガル・コンゴの森へと還って往く
早く撃っておくれ さあ 早く……》


拳銃があればとっくに撃っている 
だが今日に限って拳銃を忘れて来た 否
いつの間にかホルスターが空になっていた
持っている武器は警棒だけ 
それもあまり
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