11月18日秋葉原で/ただのみきや
まり硬くならない大人の玩具のような警棒で
花魁姿のゴリラと殴り合う
殉職したい警察官
転落死したいゴリラ
どちらも決定打を欠いたまま
放り投げたコインが墜ちて来るのを待っていた
日も傾きかけた頃
野次馬一人一人がみな松明に姿を変え ついに
ギヤマンの壺は炎上した
炎上は珍しくもなく
恵みもなければ は組もない 祈る者すらいやしない
遠く 天守閣から遠眼鏡で覗いていた
将軍様は 『生類憐み症』の発作で
脇の下から烏賊の脚をブラブラさせながら
お抱え力士(相撲警察)に殉職甚句を歌い舞わせ
燃え上るギヤマンの頂上決戦を見つめていた
おもむろに右手を差し出すと小
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