11月18日秋葉原で/ただのみきや
 
ったが 
それが俄かに現実味を帯びている
殉職するために警官になったと言っても過言ではない
子供のころテレビドラマで次々に殉職して往く刑事を見て
始めて 恋をした 
殉職する 未来の自分の姿に
生き残る刑事は醜い
生きたまま逮捕される犯人と同じくらい
美しい片言の台詞はみなほつれて
河原の芒のように空しく月に触れようとしたが
《――転落だけでは単なるミスだ
格闘・説得・致命的出血・不可避で不幸な偶然が必須だ》


秋晴れの空にオーロラの輝き
ギヤマンの壺の中は血のようなボージョレー・ヌーボ
酔っ払いの生首がいくつも浮き沈み
なんともウラメシヤな流し目でこちらを見上
[次のページ]
戻る   Point(5)