嘘の種/ただのみきや
 
えない
ただ ダニのように 血を啜るだけ

「永遠」がアニメーションなら
いったい幾つセル画を描けばいい
「一瞬」の背景を幾つ切り取ればいい

    *

言葉は全盲の絵筆
印象の照り返しと陰影に
意味の輪郭線を欲するのは
燃えるような錯覚の揺らめきを殺してまで
通じたいからか
通じて初めて
断絶と孤独を知る
錯覚は間にあるのではなく個々の内にある
火の蝶の羽ばたき
流れ続ける静止
かつて一枚だった鏡の欠片たちが
歪みを孕んで
二度と一つになることもなく
孤立の果て
齟齬を繰り返しながら
互いを求め
バベルの塔の周り
日時計の文字盤のように

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