流時紋/ただのみきや
ふるえる傷口から生えた肉腫であったか
辺りを騒がせ流れを歪め
ただ固く 硬く尖らせて
尚もやわらかな
血肉でしかない
ことを
卑怯者呼ばわりするかのように
自虐の汚れた包帯でぐるぐる巻きにして
時が解決する癒しとは
摩耗である
血肉を削がれ もの言わぬ骨となり
冷たい時の流れに浸されて違和もなく
もはやなにも乱さない
なめらかな河底の石となって黙すること
いま癒されることもなく苦しげに
水面からやっと唇を突き出して
――白く 泡立つ時間
つかまえた手
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