天国を待ちながら、だけどこの身体の居心地もまんざら捨てたもんじゃない/ホロウ・シカエルボク
 
ンテンスであればいいと思いながら書いている

長い時間をかけてたどり着いた氷山の頂上で疲れ果てたおれは居眠りをしてしまう
おれの体温で溶けた氷は垂直におれを飲み込んでいく
目覚めたときにはおれは氷山の腹のあたりにいて
果てしない頭上に穴が開いている
ピッケルは頂上に取り残されている、酷い話だ
氷山のなかにいるとあたりは白夜のように明るい
けっして届かぬ出口を見上げながら
こんな物語をむかし読んだことがあったなと思う
でもそれがなんというタイトルなのかまるで思い出せない
そんなにマイナーな作家の本じゃなかったはずだけど(やれやれ、とぼくは思う)
それからのときは早回しのように
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