天国を待ちながら、だけどこの身体の居心地もまんざら捨てたもんじゃない/ホロウ・シカエルボク
うに過ぎる
きっとどんな動きもそこには存在しないせいだ
明るすぎる朝と暗すぎる夜を何度見送っただろう
ある太陽が暑すぎた午後に
おれを孕んだ氷はゆっくりと溶け始める、このまますべてが溶けてしまったら、とおれは考える
膨大な水によって二度と帰れないところまで流されてしまうかもしれない、そんな恐怖が
じわじわと緩んでいく拘束によって押し寄せてくる
結論から言えばそれは取り越し苦労というやつで
少しずつ溶けていった氷にはそんな勢いはなく
おれはその場にぼつんと置きざられただけだった、あの瞬間の気持ちを
どんなふうに語ればいいだろう、あの瞬間の気持ちを
包まれたものが取り払われたときの
自由と絶望が高密度で絡み合った抽象画のような心を
窓の外の街灯がその夜の役目を終える
明けきらぬ朝が照らす窓はあの夢の景色によく似ている
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