天国を待ちながら、だけどこの身体の居心地もまんざら捨てたもんじゃない/ホロウ・シカエルボク
空間の裂傷は見えない血を吹き上げて
おれは騙されているような血塗れに仕立て上げられる
それはいったいどんなものの生命なのか
わからぬまま衣服は浸食されていく、そして、おそらくは
催眠によって起こる同調のようにその切り口の疼きを知っているおれの心情までもが
臨終の床で
「美しい人生だった」と目を潤ませながら成仏なんかしたくない
「タブレットを寄こせ、紙と鉛筆でもいい」と喚きながら
新しい一行を書きながらくたばりたい
いつからか汚すことがおれの業となったから
みじめに齧りつきながら息絶えたい
いつかには書くものすべてが遺書になればいいと思っていた
いまでは明日に続くセンテ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)