天国を待ちながら、だけどこの身体の居心地もまんざら捨てたもんじゃない/ホロウ・シカエルボク
 
感じるのと同様に
意識的にゆっくりと瞬きをする
効果も知らないまじないを唱えるように何度も
いまだ首筋に絡みついたままのアドレセンスが
ほんの少しだけ呼吸を不完全にしているみたいな気がする
一日のいちばんなにもない時間が永遠に続くみたいに思えるとき
腐敗した思春期が左胸から剥がれ落ちる
萎れた花弁が茎からこぼれるように
それはどこかの洞穴のなかで聞こえるはるか先で起こった崩落のように
重くくぐもった響きを伴って足元に落ちる

アァ、イエー、イエー
シャウトするボーカリストとまぐわう二匹の蛇のようなギターソロ
音符を越えた音の連なりにこの限られた空間は切り刻まれていく

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