ジャンヌ、雪の病室/田中修子
と言ってくれた。
あ、お母さんだ。このひと、私の。
それからしばらくして家に帰ってきたらあのひとはまたおそろしい、イヤーな感じのする存在になった。
あのひとが家で体調を崩したときがあった。私の名を呼ばれて飛んでいく。おばあちゃんが亡くなるまで介護をしていたし、ともかく必要とされたかった。そう、私を見てほしかったのだ。
引き戸の向こうで、えっ、えっ、という音がして、「ビニール袋持ってきて」というので吐くんだと分かった。ビニール袋を持って、引き戸の向こうからニュッと突き出た手に渡す。吐き終わるだろう頃を見計らって、引き戸をノックした。嘔吐物の入ったビニール袋や部屋に
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