一職員/葉leaf
 

実存は講壇で論じられるものではなく、勤労の現場で生きられるもの。勤労者は自らの青い実存を社会にさらし、不条理の網に引きずられている。「仕事には筋と理屈があり目的に向かった体系に沿っている」その哲学は天上の楼閣のようなもので、大地の上では不定形な仕事の匍匐運動が見られるだけだ。実存が実存を採用し、採用された実存が出世して部下の実存に指示を出す。死すべき実存たちは先駆的に結婚し住宅を購入し退職する。

朝早く出勤して職場の鍵を開けると、そこには職場の死骸が広がっている。誰一人いない職場で電灯をつける。従うべき正義はいくつもの尾を持つ蛇のようなもので、それぞれ貪欲に私を食らおうとしていた。自らの
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