ジャンヌ・ダルクの築いたお城 少女Aとテントウムシ/田中修子
いた。飛びついたのは、おばあちゃんの脚だった。おばあちゃんは、ゆっくり階段を落ちていった。落ちていく途中、灰色のかなしそうな目と私の目が合った気がする。次に覚えているのは、階段の下にグタリと倒れているおばあちゃん。それから、記憶が数時間ない。あの女が帰ってきて、おばあちゃんの部屋に行って、私も入っていった。おばあちゃんは自力で部屋に戻ったらしい。淡い銀色の髪の毛に透けて、紫の痣がドッサリ浮かんでいた。
「なんで救急車呼ばなかったのッ!!」
私が殺した。とうとう私が殺した。
すぐには亡くならなかったけど、その頭の打撲が決定打になり、おばあちゃんは完璧な寝たきりになって、1年後
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