ジャンヌ・ダルクの築いたお城 少女Aとテントウムシ/田中修子
 
いちばん死にたがり、いちばん頭がおかしく、いちばん頭が悪く、死ぬ可能性の低いのは私だった。おばあちゃんはきっと極楽にゆける。あの両親よりおばあちゃんが教えてくれた、極楽浄土ってとこがあるってのがぜったいほんとだし、私がおばあちゃんを大好きだし、おばあちゃんは苦労してきたから、きっと極楽にゆける。
 だからやっぱり、家族殺しはやめだ。とりあえず私を殺そう。そんなふうに思うようになった。

 ある日、おばあちゃんは、どうしても洗濯物を二階のベランダに干しに行くと言ってきかず、洗濯かごを抱えて階段を上がっていった。
 おばあちゃんはよろけた。下の段にいた私は、無我夢中で、おばあちゃんに飛びついた
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