メモリアル・ムーン/ホロウ・シカエルボク
たかもしれません」
そんなことを言いながら教師や相手方の両親に頭を下げていたんだよ
でもわたしがそんなふうに言うと決まってかれらはわたしを気遣い始めて
しまいには「わたしらの子にも悪いところがあったかもしれませんから」なんて水に流してくれた
あのときはそれが正直さだと思ってそんなふうに詫びていたけれど
それはもしかしたらわたしの生来的なずるさだったのかもしれないね
おまえが髪を伸ばし始めたのは
ハイスクールに行きだしてからだったね
身体つきも少し女らしくなってきて
男の子みたいに怒鳴ることもなくなった
すこし頑固だったけれど素直ないい子だったよ
家事を手伝ってくれるよ
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