しんでもいいといえる容易さで/オオカミ
もうすぐくるだろうとおもった
青いさかな色の光沢に塗れて
だけどこなかった
右手の握力がなくなっていくのが
なんとなく感じられて
たしかに感じたのだけれど
だけどだれにもいえなかった
膝が痛んでも
腕を切られても
つよさはよわさをまもらず
よわさはつよさをあいさない
と いう寓話
/
終電に乗らなかった
万引きを咎めなかった
警察につかまった
家出をした
陰口をいった
うそをついた
うそばかりついた
いつも。
わらっていた
/
こわいといえなかった
いやだといえな
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