目論んでいたんだろう―日の当たらない公園の一角で、ずっと。/ホロウ・シカエルボク
沿うように座り、自分の膝を眺めながら雨の音を聞いていた、そんな風に雨宿りをするのは初めてだった、携帯のバッテリーはカラになっていた、だからただ、じっと―十分ほどそうしていただろうか、激しさを増した雨の中で違う音がしているのに気づいた、俺はじっくりと雨音に耳を傾けた、それが無数の蜂の羽音だと判るのにたいして時間はかからなかった、それが、本物の蜂ではないことはすぐに見当がついた、激しく雨が降り続けている中で蜂が群れて飛ぶことなどないだろうし―それがどういうものなのか、さっきまで公園の隅に居た俺に判らないはずはなかった、蜂の羽音は真っ直ぐに俺を目指して遊具の中に飛び込んできた、すぐそばで音はしているのに
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