あらかじめなにかが窒息している/ホロウ・シカエルボク
 
がまたそうであるように―信号をひとつ過ぎれば、もう叫び声は聞こえなかった、あの女がこれからどれだけ泣き叫ぼうと―ひとたびすれ違っただけのこの俺の耳にもう二度とその声は届くことはない…堤防の下を高架目指して走ると、その橋げたのそばに目立たない小さな公園がある、気分を変えたくてそこの公衆便所でしつこく顔を洗った、やたらと足音がでかく響く、ボートみたいな材質の公衆便所さ、個室には五月蠅過ぎるくらいに管理組合の注意書きがベタベタと貼り付けてあった、まるで下らないデモのあとみたいだった―高架を越えたところには操車場があり、いくつかの列車が俺に興味があるとでも言うみたいにこちらを向いて停車していた、どこまで行
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