緑の折り/水菜
は寂しかったのだと思う
個人所有の土地に流れる川に遊びに来るような子供など私以外いなかった
彼女は、この誰からも見放されたような山の中に
お地蔵様のお世話をしながら植物を育てながら
静かに静かに潜んだように暮らしていた
彼女からは、定期的に手紙が届いた
それはそれは達筆な柔らかな筆遣いで筆まめな彼女は
私に手紙を送る度に何かしら押し花と香がしみ込んだ折り鶴をあわせて
彼女を発見したのは私だったが
私はその光景を綺麗だと感じてしまった
彼女に這うように山藤の蔦が
彼女を守るように巻き付いていて
彼女は緑に同化しているように見えた
彼女が倒れた場所には
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