骨/ただのみきや
どう分類しても
ヒナゲシが血の流れを辿って
路肩に咲き乱れるはずだったのに
ブチブチと傷を押し広げ現れ出たのは
肉団子をつなげた人形だった
下手くそな 造形の 分身が
こらえても 必死に おさえても
止められない 不細工で 生臭いパロディが
歯を食いしばってもだめだった
生肉人形が何体も 丸出しで恥ずかし気もなく
ヨタヨタと 聞きたくない耳障りな声で
酔っ払いや 知恵遅れの子供が
デモ隊を真似て叫ぶかのように
行進を始めた 外へ外へと
そうして脳も腸(はらわた)もみな裏返って
忌み嫌うものへと変貌して往く途中で
一度だけ
薄水色のヒナゲシを
むしゃむしゃ
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