骨/ただのみきや
 
ラスのこちら側で蜂は死んだ
寸分たがわず縞模様も美しいそのままで


骨を 落として 逝った
男はヒナゲシの季節へ帰りたかった
石鹸箱の中で骨が囀ると身体がねじれた
蛇のように身をよじっても
掻き毟るためには猿のような手が必要だった
「おれは二息歩行の鵺……
青い顔のポストを見ると欲情して交尾した
無精子症――一方的で返信不要の
舗装された道路はどこまでも続いていて
頭の中を歩いている気分になる
試しにヒナゲシを探してみたが無駄だった
「骨を捨てなきゃ正気に戻る
「正気め 車に轢かれて死んじまえ!
「いつの頃かホームランボールだった気がする
「強烈なインパクトで
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