新説アリとキリギリス/本田憲嵩
んどありませんでした。やがてふゆになってキリギリスがきました。ヒンシのじぶんにたべものをわけてほしいというのです。とうぜんアリは、なつじゅうなまけていたキリギリスを、つめたくあしらっておいかえしました。けれどもアリは、じつはたべものをわけあたえるほどのたくわえもココロのよゆうもなく、ヒンシのじょうたいでやっとでくらしていたのです。ねんきんもまさにスズメのなみだのほどのごくわずかなガクでした。アリはいま、ストーブをつかうためのねんりょうのない(せいかくにはとうゆだいをはらえなくてつかえない)、さむざむとしたスのなかでびょうしょうにつくのでした。アリは、コクミンホケンにかにゅうしていなかったので、ビョ
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