爪/次代作吾
 

息を吸って吐いている
それだけで伸びる
伸びる爪
爪よ
幸あれ
きっと私が死んでも
爪は
0.0001伸びると思われる
その0.0001の物質が詩である
と思われる
人は平気で無いものを
でっちあげるものである
詐欺師というマナーもある
なんていうこともない
やりたいことをやり
やりたくないこともやり
そんなことをしているうちに
爪は伸びる
そして切られる
灰皿に入れられた爪は
煙草の火に焼かれて
焦げ臭い
平等はここにある
排泄は当たり前すぎて
夢がない


猛禽類の爪
人間の爪はぬるい
裂くことはできても
肉に食い込むようには
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