爪/次代作吾
 
にはいかない
人間の、ダサさがここにある
幸あれ
三途の川では
爪も役に立たないのだから
幸あれ
爪たちよ
僕の先っぽに
いつまでもいてくれ
いつまでも
よもや剥がされても
生えてきておくれ
僕はそれを観察する
観察することによって
存在は消えるのた
忘れるということ
爪にぜんぶつめこんで
ロケットがあっさり燃料を切り捨てるように
爪切りで自身を切り離す
この行為に詩が宿る
詩が宿っている
爪切りは意識しない祈りである
そして呪いである
様々な呪いにやられて
生きていく人間たち
幸あれ
足をふんばって
雨に降られたまえ
なぜなら
そんなこん
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