ある感覚の喪失/ただのみきや
 

        紙魚の群れが遡上して這い上がり
     穴だらけにされると
    脳はバサバサ抜け落ちて
 頁も解らない紙切れが部屋を埋め尽くした
   言い表せない感情を人質に身代金が要求される
「目には目を
 「命には命を
     種をこぼして項垂れる
   向日葵のように
      やがて来る夜へと置き去りにされながら
    燃えさしの
      黒く細い影を引きずって
        もはや自分ではないものの呟きに疲れ果て
 「葉には葉を
「死には死を
     首は捻じれて過去を向き 
      手足は未来を闇雲に探る
       指し
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