ある感覚の喪失/ただのみきや
 
指し示す北を見失った磁石のように
        回転しながら
         内側へと収縮する螺旋の軟体
          首をはねられた
           鶏の歩行
   わたしの中の誰かが言う
「そう太陽の方だ
 「イカロスへ落下したのは
       音も意も解らない
         異国の歌にあやされながら
     窓辺の抜け殻を揺らしている       
          風
         風 風 
          風
         弾けて
     日差しの境界を犯しながら
       ひとり幾重にも
        死んで往く         
          自
          在
          に
                    
 
        
         

             《ある感覚の喪失:2017年8月16日》









戻る   Point(3)