遠い世界の夜/ホロウ・シカエルボク
 
やがて瓶が割れるような音がして踵が後頭部にめり込む、崩壊した頭蓋から脳漿が溢れ出てくる、まるで怪しげな花弁がゆっくりと開くように、足を引き抜くと足から血が流れている、始めは脳味噌がこびりついたのだと思ったが、激しい痛みがそれを間違いだと教える、足を引きずりながら薬箱を探し、血を丁寧に拭いて消毒液を吹きかけ、薬を塗りこむ、上から絆創膏を貼るともうほとんど気にならない、もう一枚絆創膏を手に取り、包装を剥いで、崩落した後頭部に乗せてひとしきり笑った、腕を引きずってシャワールームへと連れて行く、ナメクジの軌跡のように脳漿が垂れ落ちていく、服を剥いで洗濯籠に放り込む、ウンザリするくらい重い、だけど、これまで
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