虹を探す/吉岡ペペロ
生きていけたらいいのに。じぶんはどうだろう。犬がうなる声が止んだ。室温が目標に達したのだ。オンとオフ。 なにも世界は変わらない。
コーヒーをいれにサーバーのところまで行った。こんなもの飲んでどうするわけでもない。カフェインが欲しいだけ。
振り返りオフィスで働く部下たちの肩や背中を見回しながら席に戻った。イスの近くの床に虹がでていた。
夕方のまだ明るい陽がなにかに当たって出来たのだろう。あたりを探すと、社長賞でもらったクリスタルがあやしかった。クリスタルに触ると虹が消えた。それからまたクリスタルを触って虹を床に戻した。
世界は変わらない。ちっぽけな器に入るような世界なんて変わるわ
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