試供品の朝/ホロウ・シカエルボク
いるのではないのかね
雨のあとの路面に唾を吐くのだろう
古本屋で手に入れた詩集に落書きをするのだろう
レコードを叩き割って裏庭に捨てるのだろう
日記を塗り潰してなにも思い出せなくするつもりなのだろう
生の滓が肌にこびりつくから
おまえはいらだちに取り巻かれて
きちがいのような叫び声を上げる
いっときののぼせですむうちにやめときな
うす曇りの週末、オープンカフェで
焼けつくようなコーヒーを無暗に流し込んだ
ボサノバが流れていて、ウンザリするほどに
そうさ、おまえいがいはみんな楽しそうにしてた
妙に早い飛行機が空を横切る
どこかの
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