日向の標本/ホロウ・シカエルボク
れは思った、それが同じ建物のどこかであることは判っていた、ひと続きの建物であると確信出来る振動がそこには感じられた、そういうのって理屈じゃないじゃないか
3
天井と壁が交わる線の部分は緩やかなRを描いていた、その部分はガラスではなく、アクリルガラスがモザイク模様を描いていた、光はそこにもあったが、それはそこで静止していてこの部屋の何ものをも照らしはしなかった、どうしてあそこにあんなものを埋め込んだのだろう、とおれは考えた、あそこまでずっとガラスではいけなかったのか、おれはあそこにアクリルガラスを埋め込んだ人間のことを考えた、おれはそうした技術には疎いので、それが簡単なことなのかどう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)