こころ/ただのみきや
つかみどころのない臓器
痛みはあっても在処のない
つるりと気取った陶器
来客用もちゃんとある
すきま風の絶えないあばら屋
震えている いつからここで
過敏すぎる 肉を削いで裏返しに着たくらい
かと思えばこんなになるまで気づきもしない
火掻き棒も真っ赤になるほど熱く燃え
朝には消し炭 冷たい寝床
融かし込めない いくつもの過去が
かたい面持ちのまま結晶して層になった
マトリョーシカ
カタカタ鳴る内側には耳を塞ぐ術もない
儚い夢には事欠かない中身をさらけ出しても
大した仕掛けがあるわけでもなく
三つの鏡に囲まれてぽっかり空ろ
痛みの欠片
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)