こころ/ただのみきや
 
つかみどころのない臓器
痛みはあっても在処のない

つるりと気取った陶器
来客用もちゃんとある

すきま風の絶えないあばら屋
震えている いつからここで

過敏すぎる 肉を削いで裏返しに着たくらい
かと思えばこんなになるまで気づきもしない

火掻き棒も真っ赤になるほど熱く燃え
朝には消し炭 冷たい寝床

融かし込めない いくつもの過去が
かたい面持ちのまま結晶して層になった

マトリョーシカ
カタカタ鳴る内側には耳を塞ぐ術もない

儚い夢には事欠かない中身をさらけ出しても
大した仕掛けがあるわけでもなく

三つの鏡に囲まれてぽっかり空ろ
痛みの欠片
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