混血神話/ただのみきや
 
の乳房

天才や英雄は神々
淘汰される側にはいつも残忍な

風土に根差した生業の連綿
砂漠の草は細々とだが絶えることはなかった

時世に乗り合わせた人々
都市に寄り付いた人々

繁栄と衰退の砂時計
征服する者とされる者

天を満たした白亜の宮殿も
夏の入道雲 積まれた石はただの石ころへ

いのちしか持ち出せなかった人
夢をこっそり持ち出した人

追われて追って 綿毛のように
故郷から遠く帰らぬ旅路の果て

繰り返し 交差して
山を越え やがて海を渡り

どの民族の古い歌にも
一抹の郷愁を憶えずにいられない

たぶんわたしも混血 たどれない
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