混血神話/ただのみきや
 

絹より細いこの糸がどこから来たかはもう

いくつもの民族が交差したのだ
奪い合い殺し合い 愛し合い子供を産み

ナショナリズムより何層か深いところ
見知らぬ鏃や土器の欠片が埋まっている

血の流れの轟きに混じりながら 時折
文字もことばも持たない幾つもの細い支流の囁き

今はもういない 悲しく野蛮な面持ちが
夢の泥土からすっと浮かんで見せる





                《混血神話:2017年7月11日》






    



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