海辺のカソカ/ただのみきや
し続ける内臓
さらされて
さらしながら 朽ち
朽ちながら 在って 在り続け
茂る青草 満ち引く時間
あやすような昼の光のゆらめきにも
眼孔暗く
灯る夢はない
*海岸通り
都市は人を吸い上げて肥大する
それすら 『今は昔―― 』
春には鰊 秋には鮭
まほろばは常に歴史の向こう
高度成長期
バブルの戯言
夏には海水浴客でにぎわった
海抜三メートルのメインストリート
倒産した大型店の駐車場も
古い家屋の周りも
雑草だけが塩辛い風に堪えている
それでもここが故郷だから
日常というやすらかな眩暈に
古い駅舎を出て
急な坂道を黙々と登る
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)