秘密のラッコ隊/ただのみきや
 
肉体がある
ラビの帽子に骰子を振るように
斜めに
ゆっくりと
切り裂いて眼差しは円くヒップラインを撫でた
やわらかい日差しはアスファルトの裂け目まで


確信犯の鉛筆くらい
すでに言葉は
捲られる思考の向こうまで前世の
悪因並みに透明な痕を
いつまでも続く航跡のように波のゆらぎに踊りながら
まっぷたつな世界


信仰の諦念よ
すでに捧げ得るものはなにもなく
空のまま差し出す両の臺(うてな)に
天から蝶が舞降りる


生肉を齧る子供の犬歯
鈍い痛みを親の世代へ
親はその親へ
反抗は時間と血を上流まで遡る青い波
自転の内側でプレートが動くように
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