秘密のラッコ隊/ただのみきや
うに
狂気をその腕の中に抱きしめた
諧謔とイロニー
「ざまあみやがれ」
宇宙の耳にささやいた
なにかと現代的で不確実な言葉の立体を
嫌っている蠅のように増え過ぎた文字を
鬱陶しく思いながら
アフロビートの葬送行進曲に乗せて注げば
耳から溢れる
机の上
一夜にして水没した遺跡群
溺れた目のない死体の夢が脳に射精する
退屈よりも事故が嫌いなのにだ
朝が来ないようにと祈るすでに朝の光の中で
オレンジを剥くよりも早くオスカーがピアノを叩く
終わりを探しあぐねネクタイで首を絞めると
青い柄が微かに冷たくて心地よくて
癒しがたい正気が秒針でチクチクといやらしい
《秘密のラッコ隊:2017年6月28日》
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