真白な記憶、落下、ああ、二度だけ鳴る。/ホロウ・シカエルボク
 
ちたみたいだった、だが、その形状…その感触は、俺の精神に猛烈な嫌悪感を呼び覚ました、俺は夢中でその塊の上に浮上しなければならないと思った、水でないのなら上を歩いて逃げることも出来そうだった、わかっていることは急がなければならないということだった、浮上している間につま先に激しい痛みが走った、激痛だった、落下の衝撃で骨折でもしたのだろうか?あとで確認しなければ…そう思いながらその異様な欠片の水面に顔を出した俺が目にしたのは、細長く艶めいた黒で全身を彩られた甲虫の群れだった、俺は絶望し、悲鳴を上げようとしたが、寸前でとどめた、こんなところで口を開けようものならすぐにこいつらに侵入されて中から食い破られる
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