羽虫の闇/ホロウ・シカエルボク
かに行ってしまう、そう認識することもないままに、それはいつの間にか漠然とした文章のようになって、いつか白紙になってしまう…そうした感覚が緩慢になって来たのは、残り時間が少なくなったせいかもしれない、「大人を信じるな」古臭いロック・ソングは言う、だけど信じるな、ろくに歳をとったこともない連中の言うことなど…たとえばこんな夜には、俺はいつかとまったく同じ夜を見ていると感じる、何も変わらないのだ、なぜなら俺はそれを放棄したことがないからだ―こだわるものが変わらないのなら、人間はどんなに歳をとっても変わることなどない、ただそれがよりよく見えるようになるのさ、変わることといえば、少し消化器官が馬鹿になるくら
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