羽虫の闇/ホロウ・シカエルボク
 
ない、そうだろ?それらが肉体に伸し掛かることがなくなったせいさ、いつでも身軽になって…サービスのいいパック・ツアーみたいに、着の身着のままで生きることが出来るんだ、パスコードさえ忘れなければ…俺は大声で笑う、そうすると血管の中の羽虫が動いてざらざらという音がする、こいつらもクラウドが預かってくれりゃいいのにな?戯言ばかりが飲み損ねた水のようにカーペットの上に落ちていく、なあ、ろくに飯を食っていないのに満腹なのはどうしてだろう、俺は歳を取って、消化器官が馬鹿になってきた、でも時々すごく調子のいい時だってあるんだぜ、そんなときは虫たちが一緒に流れていくのを見ることが出来る…俺は壁にくっつけてある家具の
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