子よ、おまえに歌を教えてあげよう/ホロウ・シカエルボク
住処はあらゆる場所に鼠が住みついて、もう使い物にならなくなっていたが
壊れたものにはそんなことはもうどうでもよかった
一日中上を向いて太陽の中にあるものを眺めていた
壊れたものは一日に数度、あたりに生えている草をそのまま食った
そうしているうちに不思議なほどに
肌の色がよくなり、動きもしっかりとした
壊れたものは太陽を見、雨を見、雷を見、雪を見た
そのすべての名前を思い出すことが出来なかった
渇くことを喜び、濡れることを喜び、光ることを喜び、冷えることを喜んだ
壊れたものは時々歌をうたった
それは先にそこに住んでいた女に教えてもらった歌だったが
そんなことは
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