ぼくはこのさきも花を育てることなどないだろう/ホロウ・シカエルボク
 
ふりをしてテレビのライブ・ショウを観ている
本気でだれかに観てもらおうとする番組からは
なつかしい歌ばかりが流れてくる


ねえきみ、いつか本当に世界が終ろうとするときに
ぼくらがこころから求めるものはなんだろう
ラブソングみたいなイデオロギーでなく
はたまたどこかの僧侶のような悟りの境地でもなく
あたりまえのぼくらがこころから求めるものは


雨がまたひどくなる
どこにも出かけて行かないぼくらにしてみれば
それはとりたてて問題にするような出来事じゃない
ぼくたちはちかごろまるで傘をさしたことがない
傘を持っているかどうかすらあやしいもんなんだ
雨なんてぼくらにし
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