日々/飯沼ふるい
がり
体の冷え切らぬうちに床につき
目をつむる
やがて瞼の裏に
血の通う
朱いあかるさを感光すれば
ようやくひとつの朝
うつろいゆく時間に紛れた
うつろわざる情念がひとつ
煮えきらないまま胎動している
窓を開ける
春のにおいがするが
ここを書いているときは
二月の始めだったから
その眼球や口腔
不自由だったみぎのほほへ
冷えきった空気が無遠慮に触れてきたとおもう
耳をそばたてると
となりで眠る人の寝息が切ない
これを書き倦ねていると書いてから
さらに時を経てもまだ書き倦ねているあいだに
二人で暮らし始めていた
ていうか籍もいれた
なんだ「空白の過去
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