Here comes the spring/るるりら
 
みながら思惟し、わたしの頭に 皿の代わりに百科事典をのせて歩くことで 均衡の美の先の夢想をさせた。
河童の関心事は もっぱらヒトとはなにであるかであるからうつくしく歩く。
河童の言葉は いつもどこか艶めいて
飛沫でも宿っているかのようだった。
頬がほのかにまだあかい河童。

彼にとってヒトの暮らしがどのようなモノか。 わたしの祖母に大切に育てられた幼いころの河童は伝説になるほどの
愛らしさ。青春時代は大勢の雌のヒトにモテモテだった。

それだけに憎まれもした。子をなしたがヒトのような育て方が分からず 姪だということになっている私に、ヒトとは何であるかを問うのであった
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