首吊りの森/田中修子
、澄んだ色の空が見えた。
白い骨のようにひかる花花だった。青い蝶はそこにすっとなじんで溶けた。青白いやさしい光を発するその花の蜜を舐めると舌がなめらかになるのが分かった。
「私もひとごろしなの! 私がしなかったことが、きづかなかったことが、あなたをころしたの! 私のしたひとつのことが、ほかのなにかにすべてつらなっているのなら、私もあなたのことをころしたひとりなのよ! もうくるしくてくるしくて生きていかれないよ。おねがい、おねがいだから、この花の群れにくわえてよ」
花はしずかにそよいでいて返事はない。青い蝶は白い花に溶けて眠ってしまった。
首吊りの森は青白くひかる花花の森に
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