夏の亡霊/ホロウ・シカエルボク
ることでメトロノームのようにあとをついて来る足音がなにかを察してくれればいいなと思いながら―おれの注文はすぐに終わる、おれの注文はいつでもすぐに終わる、おれが注文するものはいつでも決まっている―きみはしばらくレジスターの前で思案して、やがて口を開く、それだってほとんどの場合同じなのだ、ただきみは気に入らないのだ、おれがその店をチョイスしたことや、その店のシステムや、不確実なアンドロイドのような店員の声のトーンや、やたらに掃除された薄っぺらい背もたれなんかが…おれたちは飲物を持ってカウンターに隣り合って座る、おれたち以外の客は年寄りしか居ない、おれたちは黙ってそれぞれのオーダーを片付ける、空になった
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