夏の亡霊/ホロウ・シカエルボク
える、この街の悪意はいつも、顔が見えないところでだけよく聞こえる、それは、この街の幼さをよく現わしている、とおれは考えている、べつに、どこで発表する気もない話だが…おれはきみのモカシンを追いかける、いつだったか、きみの誕生日におれが贈ったものだ、おそらくはそれは、きみの最後の賭けなのだろう、おれはそのことに気づいているがやはりアクションを起こすことはしない、おれはきみのモカシンに追いつく、そうして、喉が渇いたからどこかでなにか飲もうと提案する、きみのモカシンは呆れたように少しの間立ち止まり、やがて諦めたようにおれに先を促す、おれは一番近くにある安っぽいチェーンのコーヒー・ショップを選ぶ、そうするこ
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